パンゲアの気まぐれ帳

気の向くままに、主に好きなこと(ダンス、小説、ネットゲームなど)について書き散らかす予定

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今まで読んだ第二次世界大戦関連の本の中で、最も読み進めやすく、同時に面白い本。 表紙に元々のドイツ語のタイトルが載っているが、それは「電撃戦の伝説 1940西方戦役において」とある。 実際、作者は「電撃戦」が無計画の作り話だと主張しているわけではなく、軍団規模以下の作戦・戦術レベルでは電撃戦は実際に考えられていたし行われたが、国の行く末を決める戦略規模で成功した事は無いということなのだから、「幻」というよりは「伝説」という言葉のままの方が良かった気がする。

この本を読んだ衝撃は、以前「補給戦」を読んだ時にも勝るとも劣らない。 目から鱗が落ちるという気分だった。(もちろん、自分が戦史分野に関しての素人だからこそ、これほど衝撃的だったのだろう) 

通常、国力に勝るイギリス・フランスに時間は味方しているはずであるが、ポーランド戦から西方戦役までの短中期的には時間はドイツの味方だったと言う事。 マンシュタインとハルダーの派閥対立が作戦を頓挫させる事無く、逆に作戦を成功に導いたということ。 マンシュタインによる立案、グデーリアンによる機甲兵力の使用方法の具体化、そしてハルダーによる強引な実行、これら三者の努力がガラス細工のように積み重なってあの鎌の一撃が出来上がったということ。 そして実際の作戦の遂行における電撃戦第一人者グデーリアン軍団の行動が詳細に描かれている事。 本当に得る物が多い本だといえる。

また、第一次大戦におけるシュリーフェンプランの改変版が不成功に終わった理由を「補給戦」とは違う視点から説明し、それと比較して、マンシュタイン立案の鎌の一撃が如何に効率的で効果的なものであるのかということが分かりやすく書かれている。 

もしも、西方戦役がドイツ軍の完全な成功に終わり、ダンケルクでイギリス軍を完全に殲滅していたら、その40万の捕虜を取引材料として1940年中には第二次欧州大戦はドイツの勝利で終わっていたであろう。 この場合、日本が参戦する暇は無い。 
一方、西方戦役で、鎌の一撃が行われていなかったのなら、海を支配するイギリス・フランスが長期的な戦争遂行能力で勝り、第一次大戦と似た過程を経てドイツを降伏に追い込んだ事だろう。 それ以前にヒトラーが軍部によって追い落とされていたかもしれない。 この場合、第一次大戦の前例から、日本はドイツ側に立って参戦する事をためらってしまうはずだろう。
だが、史実では、中途半端な勝利をドイツが得てしまい、しかもその勝利方法が衝撃的なものであった為に、日本の軍部はドイツへの傾斜を強めてしまう。 またドイツにとっても、フランスには勝利した物の、イギリスを追い込む事はできず、奇妙な自信をつけたヒトラーの世界電撃戦戦略によって、イギリス戦を終わらせないままにソ連を敵に回して泥沼に入り込んでしまった。 正に、禍福は糾える縄の如し。

この本を読んで益々マンシュタイン好きになってしまった。 マンシュタインの著作「失われた勝利」もいつか読んでみたい。(今は絶版で中古本はプレミアが付いて高過ぎ!)

電撃戦という幻〈上〉電撃戦という幻〈上〉
(2003/03)
カール=ハインツ フリーザー

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パンゲア

Author:パンゲア
好きな振付師 マーサ・グラハム、ピナ・バウシュ、ウィリアム・フォーサイス。
好きなゲーム HoI2、EU3


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